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建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?改正のポイントと原則化の動き

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?~改正のポイントと原則化の動きについて

建設業界は、技能者の高齢化や若者の建設業離れが進み、日本全体の就業人口の減少していることも業界の人手不足を加速させ、深刻な問題になっています。「建設キャリアアップシステム」(以下CCUS)は、このような業界の状況を大きく変えるために導入されたシステムです。そこで今回は、日建連、全建など、業界団体と国が官民一体で普及を推進するCCUSのシステムの説明と、メリットやデメリット、2020年10月にあった制度改定についてご紹介します。

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

技能者の高齢化や若者の建設業離れなどの時代の変化に合わせて、建設業界は過渡期にあります。建設業振興基金によれば、建設業界における年齢別賃金のピークは40歳前後と、他の製造業より若くなっています。つまり、管理能力のような経験に豊富な技能者の能力が適切に評価されていないことも考えられます。若手人材の確保のために、建設業が魅力的であることをアピールする必要があることから、このような変化が要求されています。

それでは、建設キャリアアップシステム(CCUS)が現場に導入にされることによって具体的に何が変わるのかを簡単に見てみましょう。

  建設キャリアアップシステム(CCUS)導入前 導入後
準備 × ①事業者(会社)と技能者(社員)がシステムに必要情報を登録します
②事業者は現場にカードリーダーを用意します
現場に入るとき 作業者の個人情報を専用用紙に記帳していた 用紙への記帳なし
⇒技能者にそれぞれ自分専用のカードが交付されます
この専用カードを現場に入る際にカードリーダーにかざします。
キャリアの見える化 建設現場での自分の技能を証明するものは、他人のイメージや取引先の数や資格などしかなかった。
新たな建設現場で自身の技能をアピールできず、技能に見合う日当を受け取れない職人も多かった。
技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、技能・経験が客観的に評価され、技能者の適切な処遇につながる。

建設キャリアアップシステム」は、技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、技能・経験が客観的に評価され、技能者の適切な処遇につなげる仕組みにより、建設業界は主に下記の3つの変化が期待されています。

  1. ①若い世代がキャリアパスの見通しを持てる
  2. ②技能・経験に応じて処遇を改善する
  3. ③雇用と育成に注力する企業が成長できる建設業界を目指す
技能者情報の登録手続きを行ない完了するとカードが交付されます。現場入場の際カードで読み取ります。能力評価制度に基づきレベルに応じた処遇を実現。

建設キャリアアップカードのイメージ

  • ✓生年月日
  • ✓社会保険加入状況
  • ✓職種
  • ✓保有資格
  • ✓就業履歴

システム上に、以上の5つが保存され、登録事業者は閲覧が可能になり、事業登録者にとっては下記のようなメリットが得られます。

  • ・社会保険の加入が必須の際、加入の有無を瞬時に確認できる
  • ・どんな職種の職人なのか一目で分かるので仕事を依頼しやすくなる

⇒保有資格を見ればこの人にどんな仕事を与えれば良いのかが分かる

⇒たとえ経験を重要視する現場であっても、過去の就業履歴を確認することによってこれまでの経験を把握し、適性を考えて人員配置ができる。

このように建設キャリアアップシステム(CCUS)によって、経験ベースに仕事を受け、十分な収入を得られます

現場で技能者の資格保有や社会保険加入状況を簡単に把握できるため、管理業務の効率化が期待できます。さらに、建設業退職金共済事業本部によって退職金管理業務等も統合される予定であり、事業者における事務作業の効率化も見込まれます。

建退共制度の電子申請方式の導入に伴って、建設キャリアアップシステムで蓄積される就業履歴をデータ連携により掛金充当に活用し、退職金給付の徹底と事務の効率化につなげていただくことが可能となります。
特に公共工事については、電子申請方式の導入に伴い、公共工事における適正履行と一体で建設キャリアアップシステムの活用を促進しています。
電子申請方式のみの活用も可能ですので、積極的にご活用ください。

建設キャリアアップシステム(CCUS)運営開始後の制度改正

建設キャリアアップシステム(CCUS)運営開始後の制度改正

2020年9月、建設キャリアアップシステム運営協議会事務局により、2020年10月より制度が改正される旨が告知されました。

2020年10月からの制度改正のお知らせ(詳細版)

(「料金の改定」、「お問い合わせのメールでの受付」、「郵送申請・受付窓口申請の受付終了」)

平素は建設キャリアアップシステムのご利用並びに普及促進へのご協力をいただき、誠にありがとうございます。
さて、2020年9月8日に開催されました「建設キャリアアップシステム運営協議会総会」において、建設キャリアアップシステムに係る10月以降の制度改正が承認されました。
つきましては、下記の通り、料金改定及び運営方法の変更いたしますので、ご案内申し上げます。
今回の料金改定等の制度改正は、経費削減に務める中、建設キャリアアップシステムの安定的な運営を図り、今後とも利用者の皆さまに安心してご利用いただくための措置となっております。何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
なお、本ホームページのコンテンツに掲載の料金等には、一部改訂前の表示がございますが、随時、更新を行います。

下記の3点が変更点となったものです。

  1. ①料金の改定
  2. ②お問い合わせセンターにおける電話受付の終了
  3. ③郵送申請・受付窓⼝申請の受付終了
  変更前 変更後(2020年10月1日以降)
料金 事業者登録料(5年ごと) 別途下記に図として記載
管理者ID利用料(1年ごと) 2400円 11,400円
現場利用料(利用ごと)1人日・現場あたり 3円 10円
問い合わせ方法 電話受付、建設キャリアアップシステム(CCUS)のHPにある「お問い合わせフォーム」利用どちらも可能。 電話受付を終了。10月以降は「お問い合わせフォーム」利用のみ。
郵送申請・受付窓⼝申請 郵送申請、受付窓口、インターネット申請が選べた。 郵送申請および受付窓口での申請の受付を終了。10月以降はインターネット申請がメイン。書面申請を希望される場合は、お近くの認定登録機関に相談する。

※事業者登録料(5年ごと)

①事業者登録料(5年ごと)

資本金 新料金 旧料金
一人親方 変更なし 0円
一人親方以外の個人事業主 6,000円 3,000円
500万円未満 6,000円 3,000円
500万円以上1,000万円未満 12,000円 6,000円
1,000万円以上2,000万円未満 24,000円 12,000円
2,000万円以上5,000万円未満 48,000円 24,000円
5,000万円以上1億円未満 60,000円 30,000円
1億円以上3億円未満 120,000円 60,000円
3億円以上10億円未満 240,000円 120,000円
10億円以上50億円未満 480,000円 240,000円
50億円以上100億円未満 600,000円 300,000円
100億円以上500億円未満 1,200,000円 600,000円
500億円以上 2,400,000円 1,200,000円

変更点について不明点がある場合、建設キャリアアップシステム(CCUS)のサイトのFAQやガイダンス、問い合わせフォームを参考にして疑問点を解消することができます。

2023年度以降公共工事で建設キャリアアップシステム(CCUS)活用が原則化

2023年度以降公共工事で建設キャリアアップシステム(CCUS)活用が原則化

2022年2月時点では加入、登録は任意となっていますが、国土交通省は2023年に、公共事業等における建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を原則化する方針を示しており、これまでの活用促進、推奨フェーズの段階から、建設キャリアアップシステム(CCUS)を原則化するフェーズへと進んでいきます。建設業退職金共済(建退共)制度での建設キャリアアップシステム(CCUS)完全実現を掲げ、国土交通省、日建連が連携し、あらゆる工事で建設キャリアアップシステム(CCUS)を完全に実施することを目標としています。

国土交通省が示す「あらゆる工事での建設キャリアアップシステム(CCUS)完全実施」。その3つの具体策と道筋は下記の通りです。

①建退共の建設キャリアアップシステム(CCUS)活用への完全移行

2020年から、運用通知等による建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用の呼びかけを開始し、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用を本格的に実施。2023年から、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用へ完全移行する。

②社会保険加入確認の建設キャリアアップシステム(CCUS)活用の原則化

作業員名簿作成を義務化し、現場入場時の社会保険加入の確認においても建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を原則化する。

③公共工事での活用を促進

2020年より、建設キャリアアップシステム(CCUS)義務化モデル工事、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用推進モデル工事を試行し、2021年以降は、建設キャリアアップシステム(CCUS)対象工事の対象を段階的に拡大し、公共事業等における活用を原則化する。

外国人技能実習生に対しては、この登録義務化は、2019年7日5日に国土交通省によって公示されています。背景として、外国人技能実習生の失踪問題が挙げられます。産業別に見ても、特に建設分野で働く技能実習生は多く、早期の対策が不可欠であると考えられてきました。国は、給与や労働時間などの労働環境においても問題点が多いと指摘があったのです。

建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録するメリット

建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録するメリットとして技能者、建設事業者、国や建設業界の3つの視点から下記の通り解説します。

技能者にとってのメリット

技能者にとってのメリット

まずは、技能者にとってのメリットを5つの視点で下記の通り解説します。

1.評価が適切に実施され、正当な賃金や待遇を受けられる

建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録すると、個人カードに技能者の保有資格や就業履歴、マネジメント能力などのデータが蓄積されるため、技能者の経験やスキルが明確となり、一定の基準で評価を受けることができます。

2.建設業退職金共済事業本部から、退職金が適切に支払われる

これまでに、共済証紙の発行と貼付作業が問題となり、技能者が退職金を適切に受け取れないといったケースが発生しています。建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録すると、就労実績に応じて貼付する共済証紙の枚数が明確に確認できるため、受け取り手続きを適切に行うことができます。

個人カードには、技能者の就業実績が明確に記されているので、退職金支払いに関する手続きがスムーズになります。

3.キャリアが簡単に蓄積される

個人カードをカードリーダーにかざすだけで、自身のキャリアを電子的に、さらには現場の場所を問わず共通のルールで蓄積できます。もちろん就業履歴も蓄積されるため、わざわざ覚えておく必要もなく、書類による面倒な手続きも不要です。キャリアの蓄積によって仕事をした分、良い評価を得ることもできるでしょう。

4.目標を設定しやすい

建設業振興基金は、技能者を能力別に4段階にレベル分けするとしています。レベルごとにカードの色を変更すれば、スキルアップに向けた道筋を設定しやすくなると考えられます。

5.建退共手帳への証紙貼付確認が簡単にできる

建退共に関連する事務作業が簡略化することで、負担やミスを軽減させることができます。

建設事業者にとってのメリット

建設事業者にとってのメリット

次に、建設事業者にとってのメリットを3つの視点で下記の通り解説します。

1.建設キャリアアップシステム(CCUS)に対応可能であることをアピールできる

技能者、施工主、取引先などに、「建設キャリアアップシステム(CCUS)対応現場」ということをアピールできます。就業環境が整備されていることを示せれば人手不足の状況下では大きなメリットとなります。

2.情報の見える化で、発注者にアピールできる

事業者の施工能力が見える化できるため、自社の人材を発注者にアピールできます。施工能力が高いほど適性に評価されるため、発注者に自社を選んでもらえるようになるでしょう。

3.業務負担が軽減できる

技能者だけでなく、事業者にとっても業務負担が軽減できることは建設キャリアアップシステム(CCUS)登録のメリットです。勤怠管理、見える化、現場への入退場情報の確認などの作業負担が軽減されます。

国や建設業界にとってのメリット

国や建設業界にとってのメリット

最後に、国や建設業界にとってのメリットを2つの視点で下記の通り解説します。

1.自然災害と建設キャリアアップシステム(CCUS)

近年は台風や豪雨、地震などのリスクが高くなっています。令和元年9月の台風15号で被害を受けた千葉県では、約4割の住宅が被害を受けてから1年経過しても人手不足などで修繕工事が完了していないという事例がありました。各地方自治体では、地域ごとの技能者の人数を正確に把握しておきたいというニーズが高まっています。

2.若者の建設業界離れを防ぐ

かつて好況といわれていた建設業界も、現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で苦境に立たされています。また、業界が抱える課題解決に向けた見通しは未だ立っておらず、業界の未来を見据えた議論の余地は大きいと言えるでしょう。新型コロナウイルスの影響は、建設業界も例外ではありません。コロナ禍までは、東京オリンピックや都市再開発などで「建設バブル」言われていましたが、感染拡大の影響は非常に大きいとされています。建設投資額おいては、65兆円以上あった2019年以降、2020年度に約63.4兆円、2021年度には約61.8兆円まで減少すると予測されています。

特に影響が大きいとされているのが、飲食店や宿泊業といったサービス業であり、中小規模の建設現場における工事の中止が多く発生しています。工事が再開したとしても、感染症対策のための消毒液や各種機材の購入、3密回避に向けた作業工程の見直しに伴う人件費の増加によって、コストの負担が上昇しています。結果、特に小規模事業者では倒産が頻繁に起こっています。

さらなる建設業界離れを防ぐためには、建設キャリアアップシステム(CCUS)を取り入れることによって、より若者にとって建設業界が魅力的になることが大切です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)満足度調査

建設キャリアアップシステム(CCUS)満足度調査

建設業振興基金は2021年12月、建設キャリアアップシステム(CCUS)登録の満足度を調査する目的で、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録済みの技能者を対象にアンケートを実施しました。

  • ✓調査期間:10月1日~11月5日
  • ✓回答者数:3万4878人
  • ✓年代別割合:20代以下→10%、30代→15%、40代→34%、50代→30%、60代→11%
  • ✓結果

①現在の建設キャリアアップシステム(CCUS)に期待していること

建設キャリアアップシステム(CCUS)を登録することによって期待することとして最も多かった回答が、「就業履歴の蓄積によって、技能や経験が評価されること(54%)」でした。以下は、「技能レベルに応じて待遇が支払われること(35%)」、「転職時などに労働実績が証明できること(27%)」と続きました。

②今後の建設キャリアアップシステム(CCUS)に期待すること

一方で、技能者にとってのメリットをさらに増やしていくために期待することは?という質問に対しては、「登録方法を簡略化する(46%)」という回答が最多となりました。建設業振興基金では、登録までに時間がかかる場合もあるといった声も挙がっている中で、サポート面をいかに充実させていくかを検討しています。次いで、「各種資格証との連携(43%)」、「技能者のレベルに応じた賃金が支払われる(39%)」という回答が多くなっています。レベルに応じた手当てや賃金の支給については、建設キャリアアップシステム(CCUS)登録のメリットとして回答している技能者も多くいましたが、若い技能者を増やすためにはさらなる改善が必要という意見も多数寄せられました。

③就業履歴の蓄積実態

就業履歴の蓄積に関して、カードリーダーへのタッチを実施したことがあると回答した割合は48%と約半数を占めています。しかし未経験の技能者も41%と多く、就労履歴の蓄積においても建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を拡大させていく必要性が明らかとなりました。

④若者の技能者を確保するために必要なこと

「週休二日の確保(35%)」という回答が最多で、次いで多かったのが、「経験や技能に応じた賃金の支給(31%)」という結果となりました。経験などに応じた賃金支給は建設キャリアアップシステム(CCUS)登録のメリットでも回答者が多くいましたが、賃金以上に休暇の確保が重要であるという現場の声が明確になりました。

⑤建設業界に対する不安

「建設業界の健全な存続(28%)」が最多で、「就業できなくなった時の収入面の不安(20%)」を上回りました。個人としての不安よりも、建設業全体の将来への不安が大きかったという結果となりました。

建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録しないデメリット

建設キャリアアップシステム(CCUS)を未登録のままでいると、下記のようなデメリットが発生し、ビジネスに影響が出て来ます。

「経営事項審査」における加点がない

経営事項審査とは、建設業者の経営状況、規模などについて点数で評価する審査で、公共工事を受注する建設業者は必ず受ける必要があります。建設キャリアアップシステム(CCUS)未登録の場合、この点数評価を実施できないため、点数を公募条件とする案件に応募する際は不利になることがあるので注意が必要です。

公共工事の受注減の可能性がある

公共工事の受注の際、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録されている企業が優遇される傾向があります。建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録有無が会社の評価につながり、公共工事の受注、質に大きく影響することがあるため、建設キャリアアップシステム(CCUS)未登録では発注者側に対するアピールが十分にできなくなってしまいます。

発注者の中には、建設キャリアアップシステム(CCUS)登録業者の中から発注先を選択する企業も多くあります。未登録の場合は発注先の候補としても挙がってこない可能性があるため、受注のチャンスを逃してしまうというデメリットがあるでしょう。

事務作業の負担が多くなる

建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録していないと、事務作業の負担が増加してしまいます。元請業者にとっては、施工体制台帳や作業員名簿の作成・確認作業の手間が増え、ミスを削減するために何度も確認作業をしなければなりません。

建退共に関連する事務作業においても、技能者に証紙を交付する際の作業負担が多くなります。また、現場に入場する技能者の社会保険加入状況の確認作業も非効率となってしまいます。

このように、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録していれば自動で可能な事務作業も、未登録の場合は手動での作業が増えるため、人材や時間を確保するコストが発生します。スムーズに現場を運営していくためにも、建設キャリアアップシステム(CCUS)未登録のデメリットは大きいといえるでしょう。

長期雇用の実現に影響する

未登録だと「評価の見える化」が難しくなってしまいます。そのため、長期雇用を実現するための人事評価も適切に実施できないことも考えられます。建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録は、適切な人事評価、さらには安定した長期雇用を実現できる環境構築をする上でも非常に重要です。

一人親方は収入に影響がある

一人親方であれば、適正な収入をもらうために登録が欠かせません。未登録の場合、建設キャリアアップシステム(CCUS)による評価の蓄積ができないため、適正な評価を受けることができず、収入にも影響します。技能者の評価を証明ができなければ、発注する側にとっても技能者の適性を判断することが困難となり、仕事の受注減にもつながりかねません。

経験や技能に応じた賃金の支払いを受けられるかどうか、安定して仕事をもらえるかどうか、これらの観点から見ても、一人親方にとって建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録は必須であるといえるでしょう。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の課題

建設キャリアアップシステム(CCUS)の課題

建設キャリアアップシステム(CCUS)へ根強い抵抗があり、活用がなかなか普及していない市町村もあるようです。実際、8割が活用に消極的であり、建設キャリアアップシステム(CCUS)の利点を感じないという企業が多くあります。建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用するとインセンティブを出すという自治体が増えているとはいえ、普及には程遠いという状況になっています。

川崎市が実施したアンケート調査では、市内の企業90社からの回答によると、「今後も活用する予定がない」と答えた企業が53社と6割近くを占めました。最も多い理由は、活用のメリットがわからない」で30社が回答し、次いで「費用負担面」と続きました。「活用しない」と回答した19社と合わせると、約8割が建設キャリアアップシステム(CCUS)に対して消極的な姿勢を示しています。また、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用するためには、費用と時間がかかるということを知ってほしいという意見の他に、制度設計自体を疑問視する声もありました。特に小規模な現場においては、活用が難しいというのが現状です。

さいごに

2023年に義務化される建設キャリアアップシステム(CCUS)について理解を深めていただけましたでしょうか?

2023年までに、国土交通省では全工事において建設キャリアアップシステム(CCUS)完全義務化、建設キャリアアップシステム(CCUS)による社保加入確認、経審での点数付与を有利にするなどあらゆる施策講じるとしています。

数年前、「社保未加入業者には現場入場させない」という方針を定め実行してきたように、建設キャリアアップシステム(CCUS)を通さず現場に入ることは難しくなっていくと予想されます。まだまだ現場の課題があるようですが、登録しないと受注の機会損出につながるほど影響が出てきます。2023年義務化に向けて、登録しようかどうか迷っている事業主の方も多いと聞きますが、なるべく早めに情報収集や準備をしておくことでビジネスの機会を逃さずに済むでしょう。この記事を読んでいただいてまだ何も対策をしていないという方は、制度化される前に準備だけしておきましょう。


このほか、実際の現場の声が気になる方は建設キャリアアップシステム(CCUS)インタビュー記事をご確認ください。

また、現場への導入にお困りの方は、弊社キッズウェイが開発した建設キャリアアップシステム(CCUS)と連携できる顔認証システムFACEma(フェイスマ)をご検討ください。