Instagram YouTube Line

TOP > 不動産投資 > 不動産投資で青色申告にするメリット・デメリットと注意すべきポイントとは

不動産オーナー1年目の学校

不動産投資で青色申告にするメリット・デメリットと注意すべきポイントとは

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
不動産投資で青色申告にするメリット・デメリットと注意すべきポイントとは

土地や建物などの不動産を貸し付けて得る所得は、不動産所得に分類されます。不動産所得にかかる税金は、青色申告によって節税できる可能性があります。この記事では、不動産投資をする個人が青色申告をするメリット・デメリットおよび注意すべきポイントをご説明します。青色申告と白色申告どちらにしようか迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。

1. 不動産投資で青色申告にするメリット

一定水準の記帳を行い、記帳に基づいた青色申告を行う人には、税制上の特典が認められています。不動産投資家が青色申告を選択する主なメリットは、以下の3つです。

1-1. 最大で65万円の控除を受けられる

青色申告の最大のメリットは、税額計算上の経費が最大65万円増える青色申告特別控除が受けられることです。不動産所得の場合、65万円の控除を受けるためには下記の要件を全て満たす必要があります。

1-1-1. 事業的規模で不動産賃貸業を行っている

事業的規模かどうかは、原則社会通念上事業と呼べる規模かどうかで実質で判断します。建物の貸付の場合、アパート等の場合には概ね10室以上、独立家屋であれば概ね5棟以上であれば原則事業的規模として扱われます。なお、事業的規模ではない場合でも、10万円の控除が可能です。また、不動産所得が事業的規模でなくても、事業所得がある場合には一定の要件を満たせば65万円の控除が認められます。

1-1-2.電子申告または電子帳簿保存を行う

現時点では、電子帳簿保存よりもe-taxによる電子申告の方が手間が少なくおすすめです。この要件を満たさず、他を全て満たす場合には55万円の控除になります。

1-1-3. 複式簿記による帳簿付けを行う

全ての個人事業主は、青色と白色に関わらず、正確な税金計算のために事業の売上や経費などを記録する帳簿付けを行う必要があります。青色申告(10万円控除以外)の場合には、複式簿記による帳簿付けを行います。所得税法第150条では、帳簿書類の備付や記録、保存が適切に行われていない場合、納税地の所轄税務署長が青色申告の承認を取り消すことができる旨が定められています。

1-1-4. 現金主義によることを選択していない

青色申告でも白色申告でも、基本的には現金主義ではなく発生主義・実現主義で記帳を行います。現金の収入や支出のタイミングではなく、費用は取引が発生したタイミングで、収益は実現したタイミングで取引を計上する方法です。ただし、青色申告で前々年度の不動産所得の金額および事業所得の金額の合計額(事業専従者給与の額を経費に算入せずに計算した金額)が300万円以下である小規模事業者は、事前に届出書を提出していれば現金主義による記帳も認められています。現金主義の場合には、10万円控除となります。

1-1-5. 確定申告書に貸借対照表・損益計算書を添付し法定申告期限内に提出する

所得税法では1年間の所得を翌年2月6日から3月15日までの間に確定申告を行い所得税を納付することになっています。期限後申告の場合は青色申告でも10万円の特別控除のみになります。

確定申告書に貸借対照表・損益計算書を添付し法定申告期限内に提出する

1-2. 赤字繰り越しができる

不動産所得で赤字が発生している場合、給与所得等その他の所得と損益通算することで所得金額を圧縮できます。青色申告をしていると、損益通算後も損失を控除しきれない場合には、その損失額を翌期以降の黒字と相殺できます。個人事業主の場合、翌期以降3年間にわたって繰越が可能です。また、前年に繰戻して前年分の所得額を控除して還付を受けることも可能です。

1-3. 青色事業専従者給与が適用できる

親族や配偶者に給料を支払って経費にできることも青色申告のメリットと言えるでしょう。下記の要件を全て満たした上で青色申告を行う必要があります。

  • 1-3-1. 事業的規模で不動産賃貸業を行っている
  • 1-3-2. 青色事業専従者給与に関する届け出を提出している 提出期限は、経費に算入しようとする年の3月15日(新たに事業を開始したり新たに専従者がいることになった場合にはその日から2か月以内)です。
  • 1-3-3. 15歳以上の同一生計家族が1年のうち原則6か月超専従で仕事をしている 年齢はその年の12月31日の年齢で判定します。
  • 1-3-4. 仕事の対価として相当であると認められる金額である 届出書に記載されている方法によって、記載金額の範囲内で支払われる必要があります。対価として相当であると認められない過大部分は経費にはなりません。

なお、専従者は配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除の対象にならない点注意が必要です。

2. 不動産投資で青色申告にするデメリット

青色申告のデメリットとしては、白色申告に比べて複式簿記による記帳の手間がかかる点が挙げられます。しかし、最近では便利なクラウド会計ソフトの普及により、実は記帳の手間はかなり削減されています。また、現在は白色申告でも簡易な帳簿作成や書類保存の義務はあります。青色申告を行うことで、正確な経営成績や財政状況を把握できます。現状を把握して収益改善策を検討するために、正しい帳簿は非常に役立ちます。手間をかけずに青色申告をしたい場合には、税理士に依頼することを検討しても良いでしょう。

3. 青色申告を行う際に注意すべきポイント

青色申告を行う際に注意すべきポイント

3-1. 事前に青色申告承認申請書の提出が必要

青色申告を行う場合は、青色申告承認申請書を提出します。提出先は、原則居住地を管轄する税務署です。提出期限は以下のとおりです。

・その年から青色申告を行う場合 ⇒ その年の3月15日
・その年の1月16日以降に新たに業務を開始した場合 ⇒ 業務開始日から2か月以内

期日を過ぎてしまった場合には、その年分は白色申告で申告することになるので注意しましょう。なお、青色申告承認申請書を提出しても、白色申告を選択することもできます。開業届と同時に早めに提出しておくと良いでしょう。

3-2. 青色申告を行った後も、帳簿書類は保管が必要

確定申告後も、帳簿や決算関係書類、領収書や請求書、契約書等の帳簿書類は捨てずに保管しておきましょう。税務調査が来た時に求めに応じて提出する必要があります。保管期間は、確定申告書の提出期限から原則7年、一部の書類は5年と定められています。

4. まとめ

この記事では不動産投資で青色申告するメリット・デメリットと注意すべきポイントをご説明しました。特に事業的規模で不動産賃貸業を実施している場合、青色申告の節税メリットは大きく一定の要件のもとで最大65万円の控除が適用できます。経営成績や財政状態を適時に把握することは、不動産投資家としての収益改善にも役立つことでしょう。不動産投資家としての節税の第一歩として、ぜひ挑戦してみましょう。


【参考サイト】
青色申告とは?メリット・デメリットを解説!不動産投資で青色申告は必要?
[大家さんの確定申告] ② メリットとデメリット
不動産投資により青色申告ができる条件とは?わかりやすく解説!
不動産所得の税金教えます~事業的規模の判断とは?
不動産所得のある方が青色申告を行うための3つの条件
記帳や帳簿等保存・青色申告| 国税庁
現金主義と発生主義の違いを理解しよう
青色事業専従者給与と事業専従者控除| 国税庁
青色申告制度| 国税庁

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加