オーナーチェンジ物件と空室物件はどちらがおすすめか
投資目的で不動産を購入する場合、すでに入居者がいる物件にするか、入居者がいない物件にするかで、その性質は大きく異なります。本記事では、こちらについて詳しく解説していきます。
1.オーナーチェンジ物件と空室物件の違い
既に入居者がいる物件と入居者がいない物件には、それぞれ名称が付いています。
1-1.オーナーチェンジ物件とは
購入時点で入居者がいる物件を「オーナーチェンジ物件」といいます。入居者の入れ替わりはなく、その物件の所有者が前の人から次の人に引き継ぐため、オーナーチェンジという名称が当てられました。所有者（オーナー）が変わるだけなので、その物件に住んでいる入居者には大きな影響はありません。もちろん賃貸借契約も、そのまま引き継ぐ形となります。
1-2.空室物件とは
対して、購入時点で入居者が住んでいない物件を「空室物件」といいます。ただし、その物件の所有者が前の人から次の人に引き継ぐのはオーナーチェンジ物件と同じなので、混同してしまう人が少なくありません。したがって、所有者変更の有無ではなく、入居者の有無で「オーナーチェンジ物件」と「空室物件」で分かれると覚えておきましょう。
2. オーナーチェンジ物件を購入するメリット
投資目的で不動産を購入する際、オーナーチェンジ物件にするか空室物件にするかの選択は非常に重要です。そこで悩んでいる方に参考になるよう、それぞれのメリットとデメリットを解説します。まずはオーナーチェンジ物件を購入するメリットを見ていきましょう。
2-1.家賃収入が確保されている
オーナーチェンジ物件を購入する最大のメリットは、購入時点で家賃収入が確保されていることです。既に入居者がいるため、新規入居者募集の手間や空室リスクを避けることが可能です。アパート経営やマンション経営は家賃収入をいかに確保するかが重要です。その点では、すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件は空室物件よりもリスクが低い投資といえるでしょう。
2-2.金融機関から融資を受けやすい
オーナーチェンジ物件を購入するもう一つのメリットは、金融機関から融資を受けやすいことです。既に入居者がいる時点で、家賃収入を得られることが決まっています。つまり、その分返済能力が高いということになります。
金融機関は貸したお金を返してくれる見込みがあるかどうかで、融資の可否を判断するため、家賃収入が確定しているということは結果的に融資審査に通りやすくなります。不動産投資の最初の関門ともいえる融資審査を通過しやすいのは、大きなメリットといえるでしょう。
3.オーナーチェンジ物件を購入するデメリット
次に、オーナーチェンジ物件を購入するデメリットについて解説します。
3-1.室内を確認できないため瑕疵がある可能性がある
オーナーチェンジ物件を購入するデメリット1点目は、室内を確認したうえでの購入ができないため、瑕疵（かし）がある可能性があることです。不動産における瑕疵とは物件に何らかの欠陥がある状態を指し、入居者の退去時などに修繕することが一般的です。この際、修繕費用はオーナーが負担します。
しかしオーナーチェンジ物件では入居者がいるため、中を見学して瑕疵の有無を確認することができません。仮に大きな瑕疵を有している物件を購入してしまった場合、現在の入居者が退去する時に多額の修繕費用が必要になる可能性があります。こちらは、オーナーチェンジ物件を購入するうえで避けては通れないリスクといえます。
3-2.家賃を変更しづらい
オーナーチェンジ物件を購入するデメリット２点目は、家賃を変更しづらいことです。 オーナーチェンジ物件では、前オーナーと現入居者の賃貸借契約を引き継ぎます。そのため、仮に前オーナーが相場よりも安い家賃を設定していた場合、その家賃も引き継いだ状態で運営が始まります。
もちろん入居者との交渉は可能ですが、入居者によってできるだけ家賃は少なくしたいもの。応じてくれる可能性は低いでしょう。こちらも、オーナーチェンジ物件のデメリットです。
3-3.購入までの競争が激しい
オーナーチェンジ物件を購入するデメリット３点目は、購入までの競争が激しいことです。オーナーチェンジ物件にはいくつかのデメリットはあれども、家賃収入が確定している最大のメリットがあるため、人気があり競争率も高いです。せっかく時間をかけてオーナーチェンジ物件を見つけても購入できない可能性が高いため、気を付けましょう。
4.空室物件を購入するメリット
次に、空室物件を購入するメリットを解説していきます。
4-1.室内の状態を見て購入を判断できる
空室物件を購入するメリット１点目は、購入時に入居者がいないため室内の状態を見て購入を判断できることです。これにより、瑕疵に起因する修繕費支払いリスクが無くなります。
4-2.自由にリフォームが可能
空室物件を購入するメリット２点目は、購入時に入居者がいないため自由にリフォームができることです。今流行の室内へのリフォームなどで、高い入居率へと繋げることができます。
4-3.自由に家賃を設定することができる
空室物件を購入するメリット３点目は、自由に家賃を設定することができることです。 相場より家賃を下げて入居率を上げる、相場より家賃を上げて利回りを高めるなど、幅広い戦略をたてることが可能となります。
4-4.入居者の審査を自分でできる
空室物件を購入するメリット４点目は、入居者の審査を自分でできることです。オーナーチェンジ物件とは違い、入居者は購入後に募集をします。そのため、自分の基準に合わせた入居者を審査することができます。
5. 空室物件を購入するデメリット
最後に、空室物件を購入するデメリットを見ていきましょう。
5-1.入居者募集をする必要がある
空室物件を購入する最大のデメリットは、購入後に入居者募集をしなければならないことです。不動産投資を成功させるうえで、家賃収入の有無は非常に重要です。しかし入居者は、何もせずして集まるわけではありません。広告宣伝、不動産会社への委託など、費用と手間がかかるケースがほとんどです。こちらがオーナーチェンジ物件と比較した際に、空室物件が持つ最大のデメリットといえるでしょう。
5-2.融資額を減額されることがある
また、家賃収入が確定していないためリスクが高いと判断され、金融機関からの融資額を減額される場合があります。「融資はできるが、希望の額に達しない」ということです。このようになると、想定していたシミュレーションから外れてしまったり、レバレッジ効果が低くなることに繋がるため、デメリットといえるでしょう。
6.まとめ
いかがでしょうか。オーナーチェンジ物件と空室物件は、それぞれ魅力的な点がある一方で、それぞれリスクも有しています。まずは自分の理想に近い物件はどちらかを吟味し、そのうえでどちらが最適な選択肢であるかを判断するようにしましょう。
