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不動産オーナー1年目の学校

【不動産投資の法人化について】メリット・最適なタイミングを解説

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【不動産投資の法人化について】メリット・最適なタイミングを解説

不動産賃貸業を個人で行うか法人化するか悩んでいる方は少なくありません。個人の所得状況や投資対象の物件規模、相続税対策を検討しているか否か等により、法人化のメリットを十分に享受できるかどうかは異なります。この記事では、不動産投資を法人化して行うメリット・デメリットと最適な法人化のタイミングを解説します。

1. 不動産投資で法人化するメリット4選

まずは、不動産賃貸業を法人として行う主なメリット4つを確認しましょう。

1-1. 節税できる

法人化すると個人として事業を行うよりも税金が安くなる可能性があります。個人の場合、不動産賃貸業から発生する家賃収入は不動産所得に該当します。所得税と住民税を合わせた税率は最大55%(課税所得に応じて所得税5~45%+住民税10%)です。一定規模以上のオーナーは事業税の課税対象です。

一方、法人の場合は、法人税、法人事業税、法人住民税がかかり、税率は30%程度に抑えられています。つまり、所得が多い人は法人化により節税できる可能性が高いでしょう。また、家賃収入で個人財産が増えると相続税対策が必要になることがあります。将来的に相続が見込まれる場合、法人化は相続税の節税にもつながります。役員報酬を通じて家族などに所得を分散することで、個人の相続財産の蓄積を減少させ、相続税負担を軽減できます。また、将来の相続人を株主にしたり、適切な時期に株式として贈与することも可能です。ただし、不動産オーナーが高齢の場合などには、相続税対策として機能しない可能性があるため十分な注意が必要です。

1-2. 経費にできる範囲が広がる

法人の場合、個人に比べて経費の範囲が広いため、より所得を減らしやすく節税につながります。例えば、家族や本人の役員報酬や退職金を経費化できます。個人の場合、本人の給料や退職金を経費化できません。家族の給料は一定の要件を満たせば経費化できますが、法人よりも要件が厳しくなっています。

1-3. 赤字の繰越期間を延ばせる

青色申告の特典として、業績不振等により赤字になった場合、法人が赤字を翌期以降の利益と相殺できる期間は原則10年間です。一方、個人の場合は3年間と法人に比べて短期間です。

1-4. 融資を受けやすくなる

融資を受けやすくなる

一般的に、法人よりも個人の方が社会的信用が高く、融資の審査にも通りやすい傾向があります。登記によって会社情報が公示され、より適正な決算書の作成が想定されること、個人と異なり健康リスクがないこと等が影響しています。

2. 不動産投資で法人化するデメリット3選

不動産賃貸業を法人として行う主なデメリットも3つ押さえておきましょう。

2-1. 設立費用がかかる

個人の場合、事業的規模の不動産貸付を行う際には税務署に開業届を提出します。記入項目も少ないため、1時間あれば郵送手続を含めて申請完了できるしょう。特段費用もかかりません。一方、法人を設立する場合には、定款や登記申請書等複数の書類を作成する必要があります。登録免許税等の設立費用は6万円~25万円発生します。

費用を抑えて法人化したい場合には、株式会社ではなく合同会社の設立を検討すると良いでしょう。また、設立時だけでなく事業を廃止する際にも解散登記等のために費用が発生することにも留意しましょう。

2-2. 長期保有の不動産売却の際に優遇税制が利用できない

個人の場合、不動産の譲渡所得にかかる税金は他の所得と区分して計算します(分離課税)。売却した年の1月1日現在で5年を超えるかどうかで短期か長期に区分され、それぞれの税率が適用されます。

短期譲渡所得の場合、所得税等が30.63%、住民税が9%です。長期譲渡所得の場合は、所得税等が15.315%、住民税は5%です。一方、法人の場合には保有期間に関わらず他の所得と合算して一律に課税されます。ただし、どちらの方が最終的に節税になるかは、税率のみでは判断できず、所得の状況などにより異なります。必要に応じて、専門家である税理士に相談しましょう。

2-3. 法人の維持費用が必要になる

法人の維持費用が必要になる

法人の場合、設立後にも維持費用が発生します。例えば、法人の税務会計処理は複雑であるため、税理士に記帳や申告代行を依頼する不動産オーナーは少なくありません。事業規模にもよりますが、税理士報酬は年間20万円~50万円程度は発生するでしょう。その他、法人の場合は赤字でも毎年法人住民税(均等割)が7万円程度発生します。

3. おすすめの法人化のタイミング

それでは、不動産オーナーはいつ法人化すればよいのでしょうか。法人化のタイミングによっては損をすることもあるため、適切なタイミングに実行することが大切です。一般的には下記の2パターンが多いです。

3-1. ①法人の方が税率が低くなるタイミング

個人の所得税は所得が増えれば増えるほど税率が上がります。そのため、課税所得が900万円を超えて法人税率の方が低くなるタイミングが法人化を検討するタイミングとして挙げられます。

3-2. ②不動産投資を始めるタイミング

既に給与所得等他の個人としての所得が高い場合には、最初から法人として事業を行うことにより税負担を軽減できます。最初の物件の規模が大きい場合や、今後拡大を予定していて将来的に税率が高くなる可能性がある場合にも、はじめから法人化の検討をおすすめします。

途中から法人化すると、既に個人で所有している不動産を法人に移す場合は不動産取得税や登記費用、融資を受けている場合には銀行への手数料等が発生します。最初から法人として不動産を購入すれば不要なコストであるため、所得や投資規模が大きい場合には事業開始前の検討が大切です。

4. まとめ

法人化の節税メリットを活かせるかどうかは、所得の状況や投資物件の規模、今後の投資拡大予定、相続税対策の必要性等により異なります。法人化には設立費用だけでなく、維持費用もかかります。手続き面での負担も個人より増えるでしょう。所得が少ない場合や小規模な不動産投資の場合、高齢の不動産オーナーの場合などには、デメリットの方が大きくなるリスクも高いため慎重な検討が必要です。必要に応じて事前に不動産賃貸業に強い税理士に相談しましょう。


【参考サイト】
不動産投資で法人化をするには? メリットやデメリットも解説
マンション経営を法人化すべきかどうか。そのメリットと注意点について
不動産賃貸経営の法人化とは?メリット・デメリットを不動産税理士が解説
不動産の譲渡所得| 小野木誠税理士事務所
長期譲渡所得の税額の計算| 国税庁
短期譲渡所得の税額の計算| 国税庁
不動産を短期売買した場合の税金は個人と法人のどちらがお得?
新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など| 国税庁

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